松村北斗と"松村北斗"

思えば、私の側には、途切れることなく"アイドル"がいました。

 

 

 

私のアイドル観を語るため、まずは今までの"アイドル"人生を振り返ってみます。過去から遡るのもいいですが、タイムマシーン的なイメージで振り返っていきたいので(謎のこだわり)現在から過去に向かって遡っていきます。

 

 

まずは現在の私を見てみましょう。

部屋に入って真っ先に目に飛び込んできたのは、大きなSixTONESのポスター。壁には北斗くんとジェシーくんの楽しげな2ショットが吊るされています。かわいいね。

棚の引き出しを開けてみると、嵐のグッズでいっぱいです。ぎゅうぎゅうに詰め込まれていて、全貌を把握するのに数時間はかかりそうです。後でちゃんと整理しなければ…

 

 

 

何年か遡って、中学生の私です。

相変わらず机の中は嵐のグッズで雑然としています。が、先程とは打って変わって、棚の上を大量のぬいぐるみが陣取っています。

左から、チップ、デール、チップ、デール、…。さぞかし彼らにぞっこんなのでしょう。

 

 

 

これまた何年か遡り、小学生の私です。

壁に雑誌の切り抜きが1枚ぺたり。

言わずと知れた国民的アイドル、嵐です。

さあ、机の上に置いてある日記を覗いてみましょう。

「あしたは嵐の国立!たのしみ!」

なるほど、生まれて初めてアイドルのコンサートに行くそうです。いいなあ、国立。行きたいなあ。

 

 

 

まだまだ遡ります。5歳、年中さんの私です。

7月7日の幼稚園に飾られた笹には、カラフルな短冊が咲いています。私の短冊を探してみます。

ありました、将来の夢はキュアドリームになることだそうです。今のところなれそうにないな…

 

 

 

そして覚えてる限りで最古の記憶。物心がつき始めた、3歳の私です。

その頃の私の世界は、主に、両手で数えられる程度の人数で構成されていました。父、母、弟、祖父、祖母…

 

 

 

そろそろお気づきでしょうか。あれ、もうこの頃になると、アイドルなんかいないじゃないか、と。

 

 

 

いいえ、この頃の私にも、確かに

"アイドル" がいたのです。

 

 

 

親です。

 

 

 

さて、家が世界の中心だった頃の私にとって親は、言わずもがな絶対的な存在でした。なんでもできる神のような存在だと、すっかり信じ込んでいたものでした。言うなれば、親に過度の理想を抱いていたわけです。

 

 

 

ですが、十年とちょっと生きたあたりで、親という偶像はいつの間にか崩れてしまいます。「あれ、もしかして親ってただの人間?」そう気づいてしまったのです。

 

 

 

さあ、ここで一体、私の身には何が起きたのでしょうか。

 

 


それは、"アイドル"すなわち"偶像"が、消滅してしまったということです。

 

 

 

実体と理想で成り立っていたはずの偶像が、理想の消滅に伴って偶像として成り立たなくなってしまった…なんか字面がすごいので図にまとめます。

 

 

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このように、偶像が偶像として成り立つためには、実像と虚像が必要です。まだちょっと分かりにくいので例を挙げます。

 

 

 

たとえば街中にジェシーくんがいたとします。

ジャニーズに興味が無く、彼のことを微塵も知らない人にとっては、上の図に即して言えば、ジェシーくんはただの実像です。虚像がないので偶像にはなりません。

 

 

 

次に、シマウマのぬいぐるみがあったとします。スト担にとってシマウマ=ジェシーくんみたいなものなので【参考: https://youtu.be/w9YcY0Hg5nQ】軽率に「ワ〜ジェシーくんだァ🥺✨」と手に取ってしまいます。シマウマのぬいぐるみ(実像)に、ヲタクのもつジェシーくんへの虚像が合致しました。本人どころか写真も映像も無いのに、偶像になってしまいました。言ってしまえば、虚像さえ重ね合わせられるなら、実像はなんでも良いのです。

 

 

 

そう、私の"アイドル"人生に登場してきた、親、キュアドリーム、嵐、チップとデール、そしてSixTONES。一見バラバラで共通点はなさそうに見えますが、全員、私にとっての偶像でした。

 

 

 

キュアドリームは単なる画面上の光ではないし、チップとデールは人の入った着ぐるみではありません。虚像を、画面や着ぐるみという実像に重ね合わせることで、偶像として楽しんでいたのです。

 

 

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さあ!主観の詰め合わせファミリーパックをひとしきり披露した上で、自担の松村北斗に目を向けてみましょう。

 

 

 

今思い出せるだけでも彼は、リア恋、えっちなお姉さん、イキリ陰キャ、柴犬、ぽわほく、やんちゃほくちゃ5さい…様々な虚像が乱立し過ぎて訳が分からない。

 

 

しかし貪欲なヲタクなので、少しでも実像を捉えたい!正解はなくても考察はしたい!そこで、考えやすくなるように図にしてみました。

 

 

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少し話の本論からは逸れますが、ジャニタレから醸し出るリアコ感って、この虚像の切れ目から出るものなんじゃ…?と思っていたりもしています。

 

 

 

 

さあここからは要素をピックアップして、詳しく説明していきます。

 

 

 

【服装】ジャニーズは原則衣装ですが、特にJrは私服を着ているのを見る機会が多いですね。故に「〇〇くんってこんな私服選ぶんだ!キュン…」と衣装と私服のギャップにキュンとしたり。しかし松村北斗に至っては、私服のセンスが独特、というのを虚像の構成要素にしています。てか衣装もほぼ私服と変わらん。

 

 

 

【パフォーマンス】ステージの演出、ダンス、その他もろもろ…言うまでもなく虚像の詰め合わせ。トンパク円盤に収録されている、ライブ序盤の「声出させてやるよ」の北斗くんは明らかに虚像の塊すぎてちょっとこそばゆい(笑)

 

 

 

【メイク】昨今では男性がメイクすることも珍しくはありませんが、やはりアイドルとメイクは切っても切り離せません。特に松村北斗はメイクに並々ならぬこだわりを持っており、気合を入れる日はアイラインが濃くなります。私はこれを、"実像が虚像に移行する儀式"だと思っています。

 

 

 

【インタビュー】アイドル本人が、自分と近いところに虚像を固めるのか、それともまったく別人として作り上げるのか(そこまでかけ離れた虚像を作る人はあんまりいないとは思うけど)。実像と虚像の間にどれだけ距離があるのかヲタクは知ることはできません。何せこの概念図の外側の存在なのでね…(分かっているけどちょっと寂しい)。特にジェシーくんは、当たり障りがない実像から遠いところの話をすることが多く、なんだか掴めないような感じがします。(その点、SODA2020年3月号のインタビューは実像に近いところの話をしてくれていたので、かなりグッときました)

 

 

 

【友人関係】松村北斗。皆おなじみ寺坂組。またもや虚像の構成要素になっています。

 

 

 

これだけ語ると、いかに松村北斗が虚像を固めているのかが分かります。

 

 

 

そしてここからが彼の面白いところなのですが、これだけ枠を固めていくと、

 

 

 

実像としての、25歳男性 松村北斗

vs

虚像としての、アイドル "松村北斗"

 

 

 

この二項対立がハッキリと浮かび上がってくるのです。

 

 

 

さらに彼自身もそれを意識しているようで、2020年6/12の自身のブログにて

 

 

 

「今日は一旦SixTONES松村北斗を捨てよう」

 


「細胞の塊に戻ろう」

 


「グッバイ松村」

 

 

 

このように、カップラーメンを食べるために彼は「SixTONES松村北斗=虚像」から離れ、「細胞の塊=実像」に戻っていきました。

 

 

彼自身もアイドルの自分と、ただの人間の自分とでハッキリ区別しているようです。

 

 

まあ結局は、"松村北斗"を見ることでアイドルの構造が見えやすくなったよ、というそんなお話です。完全に自己満足でごめんなさい。

 

 

 

ここで補足ですが、この文章はいろんな担当の方が読んでいらっしゃると思いますし、このアイドル偶像図に全てのアイドルが当てはまるとは限りません。逆に当てはまる方が少ないのかもしれない…

 

 

 

しかし、この構造を知っておくと

 

 

「なんか今の慎太郎凄いリアコだった…」

「なんでメイクしてる京本大我にギュンと来るんだ…」

 

 

など、謎の感情の正体を暴くのに1ミリくらい役立つかな〜と思ったり思わなかったり。(曖昧)

 

 

 

まあ何はともあれ、ここまで長々とお付き合い頂きありがとうございました!ズドン!